群馬県太田市は「行政評価システム」「土日開庁」「外国語教育特区」など、あらゆる方面での行政改革で大変有名です。今回はあらゆる改革案のお話を市長から直接伺うことができました。
清水聖義太田市長について (現在3期目)
● 新庁舎建設を見直しを掲げ当選
- 21階建てから12階建てへ
- 予算: 210億から160億へ
● 塩野義製薬、塾経営、
市議、県議、 を経て現職
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名刺の裏に「市役所はサービス産業である」 という市長のモットーと、「太田市経営方針」が印刷されているのが大変印象的でした。
● 英語教育特区
・ 市長のトップダウン構想
・ 6億5千万円の市税を投入
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なぜ太田市で生まれたか
・ 太田芸術学校
・ 太田スポーツ学校(ゴルフなど)
・
太田IT学校
などを市内で設立した経緯を持っている、という点も挙げられるようです。
・ 小中高12年間の一貫高ということで認可
・ 外国人が英語で授業可能
・ 公設民営
(授業料無償では困難なので私立形態)
・ 帰国子女の受け皿にも
・ 「ぐんま国際アカデミー」として
平成17年からスタート
現在はその準備段階として、
・ プレスクール設置
− 入学前の1年間
− 50分授業を週3コマ受講
− ネイティブによる英語の授業
− 現在172生徒在籍
● イマージョン教育と教育内容
"immersion"(浸すこと)、つまり、外国語を使用する環境で教育活動を進める動き、はカナダのケベックや全米でもあらゆる学校で取り組みが行われています。日本でも何校かで実施されており、その例を参考に太田市も構想を練ったようです。
・ 会津大学(福島)を参考
加藤学園(静岡)を視察
・ 英語(外国語使用)比率
(中高は社会は日本語にしていく)
小 70% 中 50%
高 50%
・ NOVAの先生を採用
(授業内容は市がつくる)
・ 2人担任制
英語が堪能な日本人教員
教員免許を持つネイティブスピーカー
・ 入学金 市内20万 市外40万
授業料 5万×2回
・ 施設、教材、給食は民間委託
・ 教員給与は県教員と同等
● 英語教育特区の運営
・ 企画部
(教育委員会ではない)
(特区申請のため教育委員会主体だと進まない)
・ 生徒募集と教員採用が課題
・ 英会話スクールなども設置
(市全体の英語力UPのため)
・ 教員評価システムの構築が大事
・ このアイデアを公立の学校に
適用できないかきないか?
(公立は公平しなければならないから、
現段階では困難)
● ISO9001
の認証取得
- 全国で50市取得
- 職員意識改革
(役所主体から顧客主体へ)
- 東レ経営研究所がコンサル
- 市長直轄で秘書課に組織を編成
(ISO責任者は秘書課長)
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普通は助役、部長となるところですが、秘書課が市長の考えを周知しているため編成したそうです。また課長は現場を熟知していたため、結果的に10ヶ月で取得することが出来ました。
・ワーキングリーダーの設置
方針を定める
(実行への計画も行う)
↓
内部監査
(職員が現場チェックをする)
(問題点が摘出され、改善方向へ導く)
・マネジメントレビュー(年2回実施)
市長が現場をチェック
情報をトップへ
・文書の管理―
不要文書は保管(最新のみ手元に)
更新後も古い文書を使う危険性を防止
情報を共有化、
・サービスセンター設置
窓口延長は困難
ショッピングセンターに役所出先機関
4名を設置
営業時間:ショッピングセンターと同じ
(土日もオープン)
コスト- 4名、場所代は免除
本庁も土日開庁(住民票、納税など)
周辺市で住民票取得可能
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太田市では後にISO14001も取得しています。
● ISO取得の過程
・ 審査登録―日本品質保証機構
・ 最初は全庁でなく、市民課窓口と
保健年金課で取得
(ロビーにあるメイン箇所)
・ 平成12年
保育園と幼稚園を一緒に
教育委員会に子供課を設置
介護サービス課設置
元気お年寄り課設置
・ 平成15年
全庁取得
職員の権限、責任の見直し
(課長は課長の仕事、部長は部長の仕事)
(課長が課をまとめ、部長が部をまとめる)
業務手続書、マニュアルづくり
職員の仕事の統一化、標準化、
--- クレーム処理が向上、再発防止
半年に1回外部審査機関を導入
(普通は年に1回)
水道局−昨年から民間委託
コスト減
● ISO取得の費用
・
800万円
(コンサル料500万円、審査300万円)
● ISO取得の結果
− 職員数が減少
− クレーム数減少
● 取得後の工夫
−
市長にダイレクトFAX
− 市長演台トーク実施(火曜日9時〜10時)
− 1Fに降りて市民と交流
− 市民満足度アンケート
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目標達成できなかった場合、なぜできなかったかを考察する、という市長の前向きな姿勢が大変印象的でした。行政評価という言葉もよく聞かれますが、「行政評価=内部審査・ISO=外部審査」という点で大きく異なります。そのシステムの違いをうまく活かして実際に反映できるのが理想だと感じます。
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