1.
日本の現状景気判断
柿本― 回復局面にある。バブル崩壊後、3回目の景気回復局面になる。
@ 95〜96年 消費税アップ前の駆け込み需要
A 99〜00年 ITバブル
B 02年〜 今までの二回とは決定的に違う要素がある。
・金利政策などの大規模な金融面からのてこ入れなしに回復
・債務、雇用、設備3つの過剰を清算
→上場企業二割の増益・需要がなくても利益が出る体質に
・個人消費部門の健闘
→消費性向を高め消費水準がアップ
しかし今好調なのは「大企業・製造業・東京」であり、
「中小・サービス・地方」はまだまだ厳しい状況。
本間― 柿本氏の認識とほぼ一致。上記B今回の景気回復の特徴の三点に追加。
・公共事業依存から脱却、民主導型の中での回復
・対中国輸出の拡大 すそ野広がっている
単なるライバルではなく好市場
・在庫調整が進んでいる
山川― 海外の経済界の人々は、2003年の日本にもっとも大きな衝撃を受けた。
・成長率2,2%:はじめの想定より異常に高い
(米3%、ユーロ0.5%)
・内需主導
・設備投資が7割ある。公共投資依存ではなくなった(2割減少)
・企業収益アップ:
円高の中でも損益分岐点を下げて利益をあげる事に成功
八代― 景気は順調に回復しているという点では3氏の認識と一致。しかし企業収益が徹底したリストラで実現したことや、家計の貯蓄を取り崩して消費性向を高めている点は注意を要する。長く続かない可能性があり、警戒すべき回復局面とも言える。手を抜くとまたすぐ前にもどってしまう。
司会― 輸出・設備投資といった成長のエンジンについて詳しくお聞きしたい
山川― 「輸出の構造変化」: 対米中心から対アジア中心へ。
日・中・アジア間でアメリカな しの貿易進んでいる
「対アジア向け輸出」: 4割鉄鋼・化学など生産財、47%は機械などの資本財
「中国の現状」: 東京オリンピック前の日本の状況とかぶる。
輸出市場としての潜在力 非常に高い。
「設備投資]:
輸出がけん引役となり設備投資もアップ
(デジタル投資・IT投資・設 備老朽化)
2005年にはさらに増えるであろう。
柿本― 輸出額は4〜9月は関西がもっとも多い。対アジア輸出の比率が55%と高いため(全国平均40%強)それにひっぱられ、関西の設備投資も3,5%のアップ
(全国平均2,5%)
「企業の工夫」: 例・松下電器産業
・ベルトコンベアーの廃止、セル方式へ
→単純労働でなくなり、従業員の意識高まる。
機械が小さくてすみ、設備費 用抑えられる。
・最先端のものは日本で作る。
→研究開発と生産を近づけリードタイム短くする
八代― 二極化現象:一方では企業は貿易によって莫大な利益をあげてくる。しかし中国は日本の発展期と違い、直接投資を多く受け入れており、国内に外資系の企業がいっぱいある。オープン。
それで、そこが生産したものを逆に日本に輸入するようになる。そこで日本では対抗できない企業が出てくる。それが景気に与える影響にも注意を払わなければならない。サービス業の規制が多いままであるのも気がかりである。教育・医療・介護のIT化もなかなか進まない。
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