ホープゾーン事業見学

   200639

宮崎りえ

 

活動内容;空堀地区、平野郷地区におけるホープゾーン事業の実情を見学する

 

日時;200633日(金)

 

参加者;長山勇太、宮崎りえ、若穂囲龍介

 

 

     ホープゾーン事業とは

ホープゾーン事業の「HOPE」とは、「Housing with roper nvironment」の略、つまり、その地域独自の環境を生かした住宅地づくりのことを指します。大阪市が現在手がけている地域は住吉大社周辺地区、空堀地区、平野郷地区の3つで、いずれも戦前から残っている古い町屋や蔵、長屋などをうまく利用して町づくりをしています。今回はそのうち、中央区の空堀地区と平野区の平野郷地区の見学に行ってきました。

 

○空堀地区

                      

                                                       

 

空堀地区のホープゾーン事業は、昔ながらの町屋を改装したカフェや雑貨屋さんなど、いわゆるレトロモダンといわれるようなお洒落なものが多かったです。他にも、古民家を地域の交流の場として改装したものや、地元生まれの文豪・直木三十五の記念館にしたものなどがあり、それらの外観はどれもレトロな味わいを残しつつも洗練されたスタイリッシュなものばかりでした。

 また、この地域には路地が多く、その中には昔のままの建物がたくさん残されており、それらはこうした事業によって改装されていませんでしたが、懐かしい風景を作り出していました。路地の入り口にその路地の住民の名を記した看板を掲げている路地もありました。こうしたものが現存している例は、大変珍しいそうです。

 空堀地区は、ホープゾーン事業による建物が、現代のマンションや住宅、昔のまんまの古民家の間に散在しているというイメージで、「街を上げての街づくり」という雰囲気ではなかったです。残っている町屋の数に限りがあったり、実際にまだそこで生活している人がいたりして、なかなか町全体をそうしたイメージに作り上げていくことは難しいとは思いますが、もっとアピールして素敵な街にしていって欲しいと思います。

 

 

○平野郷地区

 

      

 

 平野郷地区のホープゾーン事業は、町屋のレトロな雰囲気を生かしたお洒落な建物をつくるという感じではなく、実際に住民が住んでいる家屋や長屋を統一的に整備して街のイメージを作るというものでした。街の一角にはそのような町屋が密集した場所もあり、この事業によって整備された建物も全体として空堀に比べるとはるかに多く、平野郷の歴史とホープゾーン事業について観光客に解説してくれるスポットもあり、街を上げてホープゾーン事業を推進しているだな、ということが非常に良く伝わってきました。

 また、空堀が路地を中心とした住宅地で、家屋の敷地が非常に狭かったのに対し、平野郷はもともと江戸時代の大商人の屋敷などだったと思われる広い敷地に建った家屋が中心だったので、街におけるそうした建物の存在感というものを平野郷では感じることができました。

 

 

○感想

2つの地区を見学してみて、同じ古民家や町屋を生かした街といっても、その特徴が全く違っていることに驚きました。

上にも幾つかその違いは挙げましたが、もっとも違うと感じた点は、空堀地区のホープゾーン事業は、その地域の住民に還元されているというよりはむしろ、他地域から来る人にレトロでお洒落な街として喜んでもらおうという意図を感じるのですが、平野郷のホープゾーン事業は、観光客に喜んでもらうのと同時に、住民の意識にもしっかりと結びついた街づくりであるという意味合いも強い、ということです。そのぶんだけ、平野郷の方が街としての成熟しており、魅力があるのではないかと思います。元来のその地域の性質上仕方ない部分もあるでしょうが、空堀地区ではもっと住民の視点に立った街づくりが必要だし、逆に住民の側も積極的に街づくりに参加しようという意識を持つことが必要なのではないかと思いました。