中之島新線建設工事視察      平成18年2月24日 大江 真由

 

中之島新線とは、大阪府大阪市北区の玉江橋駅(仮称)から同市中央区天満橋駅を結ぶべく建設中の鉄道路線です。2008年度の完成を目指しています。京阪本線の大阪市都心部延伸と天満橋駅以西の輸送力増強を図って建設され、大阪市北区の堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島地区の東西方向の交通を担う路線となります。玉江橋駅(仮称)は、現在の大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)リーガロイヤルホテル付近に設置されます。2003年(平成15年)5月に起工式が行われました。 建設費用は1,500億円とされています。 開業後は本線になる予定で、天満橋駅の折り返し列車用の3〜4番線を従来の淀屋橋方面、淀屋橋方面に通ずる1〜2番線を中之島新線方面のホームに改造中です(2006年春完成予定)。

私たちは今回、中之島高速鉄道株式会社さんと京阪電気鉄道株式会社さんに、中之島新線の目的や概要などの説明に加え、実際に建設工事現場を見せていただきました。天満橋駅から京阪本線の切替部までを歩きました。

平面図

 

 

 

 

     平面図

 

 

 

 

 

 

 

 

縦断面図

 

 

 縦断面図

 

 

 

 

 

 

 

整備の目的・・・○大阪の東西都市軸を形成し、都心機能の充実と効率的な都市活動を支援

            ○鉄道交通ネットワーク充実により、都市拠点の広域連携を形成

 

   工事の方法・・・開削工法  1 工事に支障となる埋設物や路上の調査をした後、移設や一時撤去を行って作業スペースを確保します。

2 地中を掘削する範囲の両側に、連続した土留壁を造成します。

3 路面を覆工板で覆い、路面交通を可能にした後、土留支保工を入れながら所定の深さまで掘削します。

4 掘削が完了した後、鉄筋コンクリートで地下構造物を作ります。

5 出来上がった構造物の上に埋設物等を復旧し、元の地盤の高さまで土を埋め戻します。その後、道路や路上の施設を復旧して工事が完了します。

        

                     シールド工法  1 工場で製作したシールドマシンを駅の端部にある立坑へ分割して搬入し、組み立てます。

2 シールドマシンをジャッキで押し進めながら前面の地盤を掘削します。掘削した土はマシンの後方から駅部の作業基地へ搬出します。

3 マシンが掘削してできた空間に、鉄筋コンクリート製や鋼製のセグメントをリング状に組み立てます。

4 掘削やセグメントの組み立てを繰り返しながらトンネルを構築し、隣の駅の立坑まで進みます。 

一般的に、地下鉄工事は、駅部は地上から掘り下げていく開削工法、駅間部は地中を横に掘り進んでいくシールド工法で施工します。中之島新線では、玉江橋駅部・渡り線部、渡辺橋駅部、大江橋駅部、新北浜駅部、京阪本線切替部(新線駅名はいずれも仮称)については開削工法で、駅間はシールド工法で施工します。これらの工法により、地下鉄躯体が構築されると、軌道、建築、設備、電気工事にかかります。

とても珍しい工法なんだそうです。。

 

 

 

 この視察を通して感じたことは、中之島の土地利用の高度化が加速され交通アクセスの向上が求められている今、より便利に、より快適に、人々の要望が形になっていく素晴らしさです。また、中之島新線工事は単なる工事ではありません。中之島だけの固有の景観を広くアピールし、内外の多くの人々に強い印象を与える古くて新しい中之島にしたい、訪れる人々に強い印象を与える古くて新しい中之島にしたいという基本コンセプトのもとに、仮柵などによって人々を遠ざけ、人々の動きを寸断するといった従来の工事スタイルから脱却し、 環境保全をキーワードに「人と工事現場を遮るのではなく融合させる」「見る・見られる」ような市民協力参加型の新たな工事スタイルを追及しています。この中之島新線が、本当に人々のために作られているのだということがよく分かります。

 中之島地域は、多くの歴史的資産を有する風光明媚なエリアで、水都・大阪の象徴とも言われています。その中之島が生まれ変わる日が待ち遠しいです!!